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■今週のおすすめ本(僕の人生を変えた本・その2)
「こころ」夏目漱石(著)


高校時代の現国の教科書で一部を読んだことがある人が多いのでないだろうか?
僕もそうだ。

高校2年の夏、「こころ」の第3部だけ、国語の教科書で読み、興味を持ったので、文庫本を買い通学列車の中でひとり読んでいた。

この「こころ」と中島敦の「山月記 」だけを3年間習う高校もある、と当時の国語の先生に聞いて、「ふ〜〜ん。そんなに難解な小説なの?」と思った。

また、その国語の先生は「日本文学において●●の場面は数限りなく出ているが、この『こころ』の●●の場面を超えた小説はない」と断言していた。

この「●●」に入る漢字二文字については、実際に読んでみて、いったい、どの場面なのかを、想像してみよう。


読めば分かるが、文章自体は全然、難解ではない。

ストーリーも単純だ。

しかし、文章が簡単でストーリーも単純だからと言って、「つまらない小説」かと言うと、そんなことはない。

ここが実はこの小説のすごいところだ
つまり、日本語を多少、読めさえすれば、人間の「こころ」を読むことができ、さらに、それを考えることができるのだ。

日本人として生まれたなら、また、日本語を読めるというのなら、この夏目漱石の「こころ」を死ぬ前に読んでおいたほうがいいと強く推薦する。


人間はどうして弱いのか。
人間は「いけない」とわかっていても、どうしてその「いけない」ことに陥るのか。
そして、そうなった時に、人間はどうふるまうのがいいのか。

この物語を読んで、僕のその後の人生を決定的に変えたのは、「人を愛するとはどういうことなのか」ということだ。
もし、この「こころ」さえ読まなければ、その後の僕の人生は穏やかで、心安まる人生を送ったはずなのに、と思う。

でもね、人間の人生なんて、そんなものさ。

一冊の本に出会い、ひとりの人に出会う。
こんな簡単なことで、人生がガラリと変わるのだ。

「こころ」のストーリーはきっとネットで調べれば概略は分かると思うが、そんなこと知らずに読んだほうが断然、おもしろい。

さらに、ストーリーを知っているからと言って、また、既に読んだことがあると言って、この物語を再読しない、というのもつまらない。

高校時代に読んだ時と、50年の月日を過ごしたあとで読むと、考えることは「当然」違う。
それを自分の「成長」(あるいは退廃)と感じることができる。

人生を変えてもいいと思っている高校生と、今さら、変わらないよと思っている中年の方におすすめの名作です。

380円で、人生が変わってしまう。

怖いと言えば怖い、ことだ。


「こころ」 夏目漱石(著) / 楽天


「赤頭巾ちゃん気をつけて」庄司薫(著)(およびその4部作シリーズ)


映画化もされている小説です。

中学生の頃にはまって、自分の作文の文体まで著者の庄司薫ふうになってしまった。

本書を知ったきっかけは、本屋で本棚を眺めていたら「芥川賞受賞」という文字と「赤頭巾ちゃん気をつけて」というタイトルだった。

「なんだろう?赤頭巾ちゃん、気をつけて、て?」

そこで、その本屋で早速、本書を購入し、1ページ目を開いた。
すると、そこには「庄司薫くん」がいた。

「女の子にもマケズ、ゲバルトにもマケズ、男の子いかに生くべきか。東大入試を中止に追込んだ既成秩序の崩壊と大衆社会化の中で、さまよう若者を爽やかに描き、その文体とともに青春文学の新しい原点となった四部作第一巻。芥川賞受賞作。 」

ちなみに著者の庄司薫の奥さんはピアニストの中村紘子(あの!中村紘子さん!!)だ。
どうやって、庄司薫が中村紘子に近づいたかというと、中村紘子のコンサートのあとで、彼は楽屋に行き、「あの曲はああやって弾くのではなく、こうやったほういがいい」と講釈をたれたのだ。(やるな!)


独特の文体で、大学浪人の庄司薫くんが、平凡な日常の中で、どのように生きていくのか?という問題にぶちあたっていく。
その答えは読者に委ねられるのだが、僕は、「逃げれる問題は逃げて。それでも逃げ切れない問題があるなら、それに向かっていく」というスタンスを本書を通じて築いていった。

この庄司薫くんのシリーズは「赤、黒、白、青」の4部作シリーズになっていて、それぞれがとても「考える問題」を抱えている。

●「鳥の歌なんか聞こえない」では「死」と「死に対する憧れ」をテーマにしている(と僕は勝手に思っている。)

●「さよなら快傑頭巾」では「夢」と「夢にやぶれること」をテーマにしている(と僕は勝手に思っている。)

●「ぼくの大好きな髭」では「若者」と「時代」を テーマにしている(と僕は勝手に思っている。)



僕にとっては「赤頭巾ちゃん」から最後の「ぼくの大好きな青髭」までたどり着く過程は、その後の村上春樹の「風の歌を聴け」から「羊をめぐる冒険」に至る過程をまるで予言していたかのように、今では思っている。

僕は二十歳まで庄司薫くんを通じて「時代」と「日本」という国を見てきた(その後は村上春樹の「僕」を通して)。

軽い文体で巧妙洒脱に書いていながら、奥深い世界を見せてくれる本シリーズは、ませた中学生から挫折した高校生におすすめの本です。
(僕は特に4作目の「青髭」が大好きです。)


赤頭巾ちゃん気をつけて (中公文庫) / 楽天

白鳥の歌なんか聞こえない (中公文庫)  / 楽天

さよなら快傑黒頭巾 (中公文庫)  / 楽天

ぼくの大好きな青髭 (中公文庫)  / 楽天
 
 

 
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